大切な平時の推進体制~日ごろの教育・訓練が重要!~
いざというときに役立つ平時の取組
5段階のステップに沿って策定を進めてきた事業継続力強化計画も、いよいよ最後のステップです。計画書が完成したところで、満足してしまってはいませんか? 事業継続力強化計画は、策定したらそれで終わり、というわけではありません。
災害は日ごろの備えが大事です。日ごろの備えとは、一時的な緊急時体制の確立や耐震対策、備蓄品の準備などだけではありません。防災・減災計画を効果あるものにするには、定期的に訓練や教育を行い、計画の見直しを行うという平時からの取組が不可欠です。
実効性を確保するための3つのポイント
では、平時の取組としてどんなことを検討すればいいのか。必ず検討したいのは次の3点です。
- 推進体制の
構築
- 訓練・教育の
実施
- 計画の見直し
推進体制の構築
災害発生時、経営トップは事業継続に向けてどのように対策を進めていくか、判断を下さなければなりません。したがって、最も影響を受けると想定される部署等が中心になって防災・減災の取組を行う場合も、経営陣の強いリーダーシップが必要です。
申請書では、経営層のコミットメントについて記載することが求められています。経営者またはそれに準ずる経営陣を責任者として任命し、計画を推進する体制を構築しましょう。
計画の取組状況を確認したり、見直しを図ったりする推進体制は必ずしも新たに一から構築する必要はありません。たとえば、製造部門での安全衛生委員会等がすでに設置されている場合、委員会の役割に災害対策を追加するのも一つの方法です。ただし、委員会は設置したけれど、定期的に会議を開くわけでもなく、名ばかりということがないよう、注意しましょう。
推進体制の構築イメージ
訓練・教育の実施
策定した計画は、従業員に周知し、緊急時にきちんと実行できるような体制を構築することが重要です。
平時なら冷静に対処できることであっても、いざ緊急事態が発生すると、焦ってしまって「頭が真っ白になってしまった」という話をよく聞きます。定期的に訓練や教育を実施する体制を築きましょう。「繰り返し」の効果は非常に大きなものがあります。
また、災害発生時にスムーズに行動するには、従業員への計画の周知とともに、日ごろから防災・減災対策について互いにコミュニケーションを図ることも大事です。
なお、特に計画に記載の必要はありませんが、新しく従業員を採用したら、定期的な機会を待たずに、事業継続力強化計画について説明・教育を行うのも忘れないようにしたいものです。
<教育・訓練の活動例>
- 年に1回以上、全社員参加の訓練を実施する
- 年に1回以上、経営者が従業員に対して事業継続力強化計画の進捗状況や問題点を説明する
- 年1回以上、事業継続力強化計画のポイントに関する社内研修会を実施する
- 年に1回以上、感染症のセミナーを実施する
- 避難経路、手洗い等の感染症予防策など、計画の内容等に関する社内掲示を行う
- 社内で行われている各種勉強会で、短時間でもいいので、計画に関する報告時間を設ける
計画の見直し
いったん計画を策定したものの、実際に訓練を行ってみると、修正が必要な箇所が出てくることがあります。業務を進める手順が変更されたり、新しい設備・機器が導入されたりして、計画策定時とズレが生じる場合もあります。
計画は①業務変化への対応、②事業継続力強化計画の見直しの2つの視点から、あらかじめ時期を決めて見直すようにしましょう。
計画策定とともに災害時の避難マニュアル等、各種マニュアルを作成することも考えられます。
- マニュアルのページ数が膨大なものになった
- →災害時に必要な項目を見つけるのに手間取ってしまった。
- 被害状況を細かく設定しすぎた
- →実際の被害状況とマニュアルの想定が違うため、災害時に応用できなかった
計画の推進ではトップのリーダーシップが大切ですが、見直し・修正においてはトップダウンですべてを行うのではなく、現場の声を大事にし、実効性を高めていきましょう。
PDCAサイクルによる見直し
計画をする前に(概要)
単独型の計画を立てる
感染症対策について